メキシコ(海外)での就労を検討されている方であれば、「駐在員」と「現地採用」の違いについて知りたい方が多いと思います。
僕自身は前職ではアメリカに駐在員として在籍した経験があり、現在はメキシコで現地採用として働いているため、両方の待遇を経験しております。
そこで、今回は現地採用と駐在の違いを僕の経験に基づいて解説したいと思います。
駐在員の特徴
駐在員の特徴を以下に記載します。
- 現地法人と日本法人から給料を貰える
- 日本にいた時よりも高い役職につける
- 家賃は会社負担
- 海外赴任サポートがある
- 会社負担で定期的に日本へ一時帰国できる
- 駐在員向けの保険に入れる
- 危険な国ではハードシップ手当がつく
- 中堅社員が駐在することが多い
- 駐在する国を選べない
- 駐在期間は基本的に3-5年くらい
- 日本的な働き方を期待される
- 日本の就労規則にも従う必要がある
各特徴について詳しく解説していきます。
現地法人と日本法人から給料を貰える
駐在員は現地法人と日本法人から給料を貰うことができます。
メキシコに駐在した場合を例にとって、以下に詳しく記載します。
メキシコに駐在した場合、メキシコの物価・メキシコでの役職に相応した給料を現地通貨(メキシコではペソ)でもらえます。
また、日本法人からはメキシコで貰っている給料を考慮・調整したうえで、円で給料を貰えます(日本にある銀行口座へ振り込まれます)。
さらに、ボーナスは日本で貰っていた時と同じように貰えます。
以上より、駐在員は日本法人で働いていたときよりも多くの給料を貰うことができます。
日本にいた時よりも高い役職につける
駐在員になると、一般的には日本にいたときの役職よりも高い役職につくことができます。
例えば、日本で管理職を経験していなかった人が海外ではマネージャーのポジションについたりします。
もちろん高い役職につけばそれだけ責任も大きくなりますが、その役職に相応した給料を貰うことができます。
家賃は会社負担
海外に駐在すれば、アパートまたは一軒家を借りることになりますが、家賃は会社負担になります。
会社によって家賃の上限はありますが、駐在員にもしものことがないように、比較的治安の良い場所での家賃相場が考慮されています。
僕はアメリカのデトロイト近郊のノバイという場所に駐在していたのですが、そのときは月1,600ドルのアパートを会社負担で住んでいました。
メキシコでは駐在員の皆さんはいわゆるお金持ちエリアに住まれている方が大半です。
メキシコの場合、治安が比較的よいところは家賃も高く、結果的に裕福層が集まっています。
海外赴任サポートがある
これは実際に駐在したことがある人じゃないと知らないと思いますが、駐在員には海外赴任サポートがついてきます。
まず、海外赴任のための準備金としてまとまった額が支給されます。
僕の場合、前会社でアメリカ駐在が決まったときは、約30万円支給されました。
何か特別準備するものがなかったので、高額のバッグを衝動買いしてしまいましたが・・・(笑)
また、赴任後に家具等を揃える必要がある場合は、その費用も会社が負担してくれるところが多いです。
僕はアメリカ駐在したときに会社費用でダイソンの掃除機を勢いで購入しました(笑)。
ダイソンの掃除機は、メキシコ移住した今も使用しています。
会社負担で定期的に日本へ一時帰国できる
駐在員は会社負担で定期的に日本へ一時帰国できます。
会社・赴任地・独身・既婚・単身赴任などなど、会社や個人の状況によってまちまちですが、一般的には会社負担で年に1回日本へ一時帰国できます。
僕がアメリカに駐在していた頃は、年末に日本へ一時帰国していました。
年末はフライト費用が割高なのですが、会社負担にできたのでメチャクチャ有難かったです。
また、他にも海外から日本に来る外国人顧客のアテンド要因としても、定期的に日本へ出張できたのも良かったです。
駐在員向けの保険に入れる
駐在員は日本法人が契約する保険に加入することができます。
例えば、仮に体調不良で病院に行く必要がある場合、加入先の保険会社へ電話し(日本語対応オッケーです)、現地にある病院へのアポ予約を取ってくれたりします。
もちろん、診察費用等も全て会社負担となります。
また、会社によっては現地法人が使用している保険にも並行して加入できる場合があります。
僕が駐在員だった頃は、日本法人が契約していた保険に歯の治療は含まれていなかったので、その分は現地法人が加入している保険を使っていました。
駐在員になると何か病気などで費用が発生した場合でも、会社負担になるため安心です。
危険な国ではハードシップ手当がつく
一言に駐在といっても、色んな国に駐在員が存在します。
当然、先進国に比べると新興国の方が治安が悪かったり、生活環境があまりよくなかったりもします。
そのため、赴任する国によっては「ハードシップ手当」として月いくらか追加でお金がもらえます。
メキシコやインドといった新興国も、ハードシップ手当がもらえるケースが多いです。
ハードシップ手当がもらえる国・支給額は会社によって異なりますが、僕の前会社では以下の額を貰えました。
メキシコ:月2万円
インド:月5万円
僕はアメリカに駐在していたので、ハードシップ手当は貰えませんでした。
中堅社員が駐在することが多い
当たり前ですが、誰でも駐在員になれる訳ではありません。
僕が見てきた駐在員は、基本的には30代の中堅社員が多いイメージです。
たまに20代後半で駐在される方もいますが、結構マレなケースだと思います。
また、20代で海外赴任される方は、駐在員としてではなく海外トレーニーとして来られる方が多い印象です。
海外トレーニーの場合、期間は半年~1年程度なので、短期間でしか海外にいることができません。
(僕自身、前会社で海外トレーニー制度を利用してアメリカのアトランタに半年間住んだ経験があります。)
海外駐在を目指す方は、基本的には30代以降の中堅社員じゃないと駐在員に抜擢されないと覚悟しておいた方がいいかもしれません。
もちろん入社後1-2年で海外駐在を果たす人も中にはいます。
例えばメキシコは、治安のイメージが悪すぎて人気がない国の一つなので(笑)、若手でも駐在できる可能性はゼロではないと思います。
実際に入社後2年くらいで駐在していた人も知っています。
駐在する国を選べない
こちらも当たり前ですが、駐在員は駐在国を選ぶ権利はありません。
会社側がその時々の状況に応じて人材を海外に派遣しています。
そのため、仮に「メキシコに駐在したい!」と思っていても、駐在先が全然行きたくない国になることもあります。
行きたい国にいけるかどうかは、運の要素が強いと思います。
駐在期間は基本的に3-5年くらい
晴れて駐在員として行きたい国に行けた方は、相当ラッキーだと思います。
ただ、駐在員は基本的にいずれは日本へ本帰国する必要があります。
会社によっては8-10年といった超長期で駐在されている方もいますが、基本的には3-5年くらいで本帰国される方が多いと思います。
駐在員になれるかどうか、駐在したい国に行けるかどうか、長期間駐在できるかどうかは、会社の状況などに依存するところが大きく、自分ではコントロールできないところになります。
日本的な働き方を期待される
駐在員になれば、給料も高くなりますし、福利厚生もかなり手厚くなります。
しかし、その分海外でも残業などの日本的な働き方を期待されます。
就労時間後に日本側とのWEBミーティングが設定されることは結構普通にあります。
人によっては朝から夜までずっと働かなければいけない人もいます。
駐在員は給料・福利厚生面は素晴らしいですが、会社によってはかなり厳しい労働環境になる場合も存在します。
日本の就労規則にも従う必要がある
駐在員は現地の就労規則に加えて、日本の就労規則にも従う必要があります。
例えば、日本の就労規則に「副業禁止」というのがあります。
今日では副業オッケーの会社も増えてきたとは思いますが、一般的な日系企業ではまだまだ少ないと思います。
そのため、顔出しでYouTuberになるなどは、会社から「駐在員のくせに仕事をせずに何をしてるんだ!」と注意を受ける可能性が高いです。
もちろん、顔出しせずに副業することは可能なので、ダメージを受けない人もいます。
また、メキシコなどの比較的治安が悪い国では、会社命令で他州に旅行などにいけないルールもあったりします。
これはかなり稀なケースではありますが、日本側の会社の方針にも従う必要があるのが駐在員なのです。
現地採用の特徴
駐在員の特徴を記載したうえで、現地採用の特徴を紹介していきます。
- 現地法人からしか給料を貰えない
- 家賃は個人負担
- 日本法人からのサポートはない
- 日本への一時帰国費用は個人負担
- 現地法人が提供する保険にのみ加入
- 住みたい国を自身で選択できる
- 住みたい国に好きなだけ住める
- 日本的な働き方を強要されない
- 日本の就労規則に従う必要はない
各特徴について詳しく解説していきます。
現地法人からのみ給料を貰える
駐在員は現地法人および日本法人から給料を貰えますが、現地採用は雇用契約が現地法人とのみなので、現地法人からしか給料を貰えません。
そのため、現地採用の方は一般的に駐在員よりは給料が安くなることを覚悟する必要があります。
家賃は個人負担
現地採用の場合、基本的には家賃は個人負担になります。
たまに現地採用でも家賃補助が出る求人も存在しますが、基本的には家賃は個人負担になると考えた方がよいです。
日本法人からのサポートはない
駐在員の場合、海外赴任に伴い準備金として金銭的なサポートがあったり、現地での家具費用なども会社負担にできるところが多いですが、現地採用の場合は全て個人で負担する必要があります。
ただ、メキシコ現地採用の場合、以下は一般的に会社負担で進められると思います。
- 就労ビザ取得サポート
- 日本からメキシコへの渡航費用
- メキシコ到着後1週間のホテル滞在費用
上記は採用面接時にも確認しておくとよいと思います。
日本への一時帰国費用は個人負担
現地採用の場合、日本への一時帰国費用は個人負担となります。
そのため、メキシコのような日本から遠い国へ現地採用として就職する場合、金銭的な理由から簡単には日本へ一時帰国はできないことは覚悟した方がよいと思います。
現地法人が提供する保険にのみ加入
現地採用の場合、現地法人が提供する保険にのみ加入できます。
メキシコの場合、任意保険として「高額医療保険」が存在します。
この保険があれば、仮に病院での請求が高額になった場合でも、殆どが高額医療保険から引き落とされます。
ただし、高額医療保険に加入している会社の場合に限ります。
僕の会社は幸いにも僕が入社した同時期に高額医療保険に加入しました。
住みたい国を自身で選択できる
現地採用の場合、あらかじめ自分が住みたい国で求人を探すため、当たり前ですが自分が住みたい国に住むことができます。
駐在員の場合、どの国に住めるかは会社の判断に委ねることになるので、自分が住みたい国が決まっている場合、現地採用として就職・転職活動を進めた方がよいと思います。
住みたい国に好きなだけ住める
現地採用の場合、現地法人との雇用契約になるため、好きな国に好きなだけ住むことができます。
駐在員の場合は日本採用なので、いつかは日本法人より帰国命令が出ます。
そのため、現地にパートナーがいて離れ離れになりたくない方は、現地採用の方が安心です。
日本的な働き方を強要されない
日本の場合、残業は割と一般的にあると思います。
しかし、現地採用の場合は現地の雇用習慣に合わせた働き方ができます。
例えばメキシコでは、仕事よりも家族の方が大事と考えるのが一般的なため、どれだけ仕事があっても定時で皆さんスパッと帰ります。
日本人であれば、仕事が溜まっていると残業して働くのが一般的だと思いますが、メキシコはそうではありません。
現地採用の方は現地スタッフと同じような働き方をすることになるので、ライフワークバランスが取りやすいと思います。
日本の就労規則に従う必要はない
現地採用の場合、現地の就労規則に従うことになるため、日本の就労規則には従う必要はありません。
僕の場合、顔出しでYouTuberとしての活動もしていますが、会社からは何も言われることはありません。
これが駐在員になると、日本側から何か言われる可能性もあります。
現地採用は副業も自由ですし、日本側からの縛りを受けることはありません。
まとめ
ここまで「駐在員」と「現地採用」のそれぞれの特徴を解説しました。
この記事を読んで「駐在員の給料・福利厚生はいいなあ」と思われた方も多いと思います。
ただ、駐在員は会社命令で日本以外の国に赴任して生活しています。
仮に行きたい国に赴任できればラッキーですが、人によっては行きたくない国に数年間住まないといけない人もいます。
会社命令である以上、会社側も駐在員に対しては対価となるベネフィットを提供する必要があります。
それが駐在員の給料・福利厚生が充実している理由です。
現地採用の場合は、駐在員と比べるとどうしても給料・福利厚生に大きな差があります。
ただ、現地採用の皆さんは自分が住みたい国に住むことができています。
僕自身、メキシコ人彼女との遠距離恋愛を何とかするために、アメリカ駐在員という立場を捨て、メキシコ現地採用に踏み切りました。
僕にとって、住みたい国に好きなだけ住めるというところが、現地採用の素晴らしいところだと思っています。
海外移住、メキシコ移住を検討している皆さんの参考になれば幸いです。